『整体入門』(野口晴哉)

 町を歩いていると、「整体」という言葉をよく見かけるようになりました。主に国家資格を持たない民間療法の人々が掲げる看板ですね。西洋医学的な治療しか信じない人もいますが、割と整体というのは市民権を得ていると思います。

 この「整体」という言葉の発祥は中国だったりと諸説あるけれど、野口晴哉が提唱した言葉だという説があります。(証拠と言えるかどうかは怪しいですが、整体協会は野口晴哉さんが発足させた団体です)

 息子の野口裕之さんの講演(兼体験講習?)に行った時に聞いた野口晴哉さんの逸話は、天才と呼べるものでした。

 赤ちゃんを風呂に入れた後に、出る時に赤ちゃんを全く水滴の付着していない状態で上げるという。曰く、あるタイミングで上げれば水滴はついてこない。

 既に晴哉さんは故人となっているので確かめようはないのですが、本書『整体入門』を読むと確かにそういう図抜けた人であることが窺える。

 歩いている人を見て、その人の骨格やどこが悪いかがだいたいわかると言う。それをなんでもないことのように書いてある。猫背がどうの、歩き方がおかしいのくらいはわかっても、その人の身体のどこが悪いかが服の上から見てもわかるというのは天才的である。

 

風邪は良薬

 そんな人物が長年研究してきた整体(体癖やゆがみを意識しないうちに直す「活元運動」)は非常に独創的で面白い。まず、風邪を引くのは良いことだという。

 体量配分計で測っていると、ある人がある時期に、左右の配分が非常にアンバランスになってきて、その左右差がある程度以上になると、風邪をひくということが判ってきました。

 ~中略~

 ところが風邪を経過すると、そのアンバランスは、ちゃんと治ってしまう。だから風邪は病気ではなくて、体の歪みを正す方法なのだと考えるようになったのです。
(149ページ)

 
 西洋医学では熱が出たら解熱剤を飲むことになるけれど、それだとなぜ発熱するかはまったく考慮されていません。この風邪に対する考え方はとても素敵です。風邪の特効薬を作ったらノーベル賞なんて言われていますが、風邪を治す方法がないのは実は病気でないからと仮定すると、その方法は一生発見されないかもしれない。

 下痢をするのは、腸が弱いからではなく腸がきちんと働いたから。身体に良くないものを摂取したから身体から吐き出したのだ、と。

『整体入門』には常識を覆されるような観点で満ちている。整体を始めとした民間療法に抵抗のある方も、自分の常識にはない視点を取り入れるという目的で読むだけでも価値のある1冊です。

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