わかったふりができない

 自分の気持ちを偽るのが得意だった。

 そうした方が周囲がスムーズに進んでくれるから。
 淀みと停滞が嫌いだった。とにかく詰まることなく流れてくれるなら、喜んで自分の気持ちを偽って押し込めた。

 けれど、それじゃ上手くいかなかった。
 自分が一杯一杯になって一度は潰れてしまった。

 それからはわかったふりができなくなった。
「そうだよねー」と流してしまえばいいのに、引っかかって突っ込んでしまう。
 自分が一番嫌っていた停滞を今、私自身が生み出している。

 でも、わかったふりはできない。
 表面の部分で適当な嘘はたくさんつくけれど、でも肝心なことになるとわかったと偽ることができない。

 その感覚をもう忘れてしまったから。
 いや、もう思い出すつもりもないのだけど。

 この物分かりの悪いのが私なのだ。
 この私を大切にしたいのだ。

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