心が叫びたがってるんだ

『心が叫びたがってるんだ』を観てきました。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のスタッフ再集結による作品です。

 以下、重大なネタバレはなるべくないように書いていきますが、確実にないとは言い切れないのでご注意ください。

「あの花』のスタッフ再集結ということで、どんな作品になるかは自分なりに予想していましたが、良い意味で期待を裏切らない映画でした。
 どこか陰を感じさせながらもしっかりと青春していましたし、特別なツッコミどころもありません。それでいて、大事なところはしっかり押さえていて、全編を通してノスタルジックな香りが嫌味なく漂っています。

「心の傷」の描き方がとても丁寧で上手いです。
 突き刺さって抜けないほど深くなく、だからといって痒みすら感じないほど浅くもない、絶妙な力加減で傷を刺戟します。しかも、ストーリーの中でちゃんと繋がり馴染んでいて、世の中の8割くらいの人は主要キャラクター4人の誰かしらに自分を重ねられるように描かれています。

 面白いのはモノローグがほぼないことですね。青春系の物語はともすれば、1人の人間の内面にフォーカスしていきますが、本作品は成瀬順を軸としながらもあくまでも対話の中でストーリーが進んでいく。そこにキャラクターの感情に想いを馳せる余地が残されている。
 

 しかして、つくづく学校というのは特別な空間だなと思います。
 趣味も興味も性格も違う男女が押し込まれて、距離感を推し測りながら生活している。それをどう捉えるかは当事者次第で、窮屈と感じるのか、それとも面白いと感じるのか。とんでもない化学反応を起こす可能性は秘められているけれど、必ずしも発揮されるとは限らない。
 
 けれど誰か1人本気の人がいれば、きっと反応は起こります。
 心が叫びたがっているのは、きっと皆同じなんですよ。自分の本音が言えなくて、あるいはわからなくて、斜に構えることでやり過ごそうとしている。そこで誰かが叫びだしたら、自分も一緒に叫んでもいいような気になれる。
 ただ、いつまで待っててもその時は来ないかもしれない。
 だからやっぱり自分で叫び出さなきゃいけないんじゃないですよ。

 2回目を観る価値のある素敵な映画でした。

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