身体の微妙な言葉の表現

 顎を引く。

 この言葉の意味が私にはなかなかわかりませんでした。ヨガをしていても時折使われる表現で、意味がわからぬままに色んな人が使っているのでそれを真似ていました。
 けれど、なんで「顎を引く」なのかが疑問でした。「下げる」でも「しめる」でもなくて、「引く」のはなぜ? 
 
 もちろん、どういう動作をすればいいのかはわかります。背中が丸まってくると、身体の前後のバランスを保つために自然と首は前に突き出すようになります。
 姿勢を正すためには顎を後ろに引いてきて首の後ろを真っ直ぐ伸ばすようにしたいわけです。
 でも、実際にやってみるとなかなかどうして肩が疲れたり、楽な体勢とはとても言えませんでした。だったら、「首を真っ直ぐに」でもいいじゃないですか。

 それが少し変化してきたのがロルフィングを体験してからです。
 施術を終えた時に、力みなく自然に立てていました。
 思えば、その時に顎が引けていたのでしょう。

 そこから、微妙な感覚に気を使うようになって、顎を引くということがおぼろげながら見えてきました。
 例えば、綱引きをする時に真横に引っ張りあいます。つまり、「引く」ということは直線的な運動です。
 だから、顎を引くと言った時に上下は動かさず、前に突き出している顎をそのまま手前に引いてくるのです。「顎を下げる・しめる」と言った時に上下の動きが出てしまうのでいけないのでしょう。

 じゃあ、「首を真っ直ぐ」にだとなにがいけないかというと、肩に力が入ります。首はは丸くて、広い「面」です。それを真っ直ぐにしようとすると広い範囲に意識を向けないといけません。そうすると、それに直接繋がる肩にも自然に力が入って肩が疲れてしまったり凝るようになります。
 一方で、顎は狭い「点」です。その1点を意識して、動かすのですが、当然身体は繋がっているので、首や頭も動きます。でも、意識は顎にあるので他の場所は力まなくて済みます。だから『「顎」を「引く」』という表現がされるようになったのだと思います。自分が思っている以上に洗練された表現なのだとよくわかりました。

 腰(抜け、立つ)やお腹(の据わった、腹黒)など、日本語には身体にまつわる表現の仕方が様々あって、そこに至るまでの理由がきちんとあるのでしょう。それらの言葉を作った人々に敬意を感じると共に、今に残してくれたことに感謝です。1つ1つの言葉の意味を探っていくことはとても面白そうです。

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